パワーハラスメント対策が事業主の義務となります!

昨今、パワハラに関するニュースを多く目にするようになりました。
スポーツ業界であったり、介護業界、飲食業界など様々な業界において、パワハラのニュースが後を絶ちません。
なんでも国家公務員のパワハラ相談は前年度より40%程度も増加しているようです。

人間関係の問題なので一括りには言えませんが、昔からこのようなことはあったように思えます。
様々なニュースが取り上げられることによって声を上げること方が多くなってきたのかもしれません。 労働力人口が減少することが確実視される現代では、企業の生産性を向上させるのが急務です。
その生産性を向上させるためには良好な職場環境、 人間関係が必須であると考えます。

もちろん国でも以前から問題視をしており、 今回パワハラへの対策が事業主に義務付けられます。
※事業主の取るべき措置内容等の詳細は今後指針にて示されます。

【パワーハラスメント対策の法制化】
 ・職場におけるパワーハラスメント防止のために、
   雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
 (適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象と なります)
 ・パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、
   調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。

※パワーハラスメントの定義
 以下3つの要素すべてを満たすもの
 ①優越的な関係を背景とした
 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
 ③就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること

※雇用管理上の措置の具体的内容
 (現行のセクハラ防止の措置義務の内容を踏まえて今後検討されます)
 ①事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
 ②苦情などに対する相談体制の整備
 ③被害を受けた労働者へのケアや再発防  等

【セクシュアルハラスメント等防止対策の実効性の向上】
 ・セクハラ等の防止に関する国
 ・事業主・労働者の責務が明確化されます
 ・事業主にセクハラ等に関して相談した労働者に対して
  事業主が不利益な取扱いを行うことが禁止されます
 ・事業主は、自社の労働者が他社の労働者にセクハラを
  行い、他社が実施する雇用管理上の措置(事実確認等)への協力を
  求められた場合にこれに応じるよう努めることとされます
 ・調停の出頭・意見聴取の対象者が拡大されます

気になる施行時期ですが、 公布日(6月5日)後1年以内の政令で定める日とされています。
(中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は、努力義務となります。)

下記、厚生労働省のHPから事業主・労働者向けパンフレットや社内研修用資料のダウンロードが できます。 社内の体制整備に是非ご活用ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

ハラスメントに関する実態調査


日本労働組合総連合会から、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」が公表されました 。
<参考>日本労働組合総連合会 
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20190528.pdf

昨今、各種ハラスメントに関するお問合せを受けることが多くなってきています。

今回の調査結果では下記のようなポイントとなっています。

【調査結果のポイント】
「職場でハラスメントを受けたことがある」全体の38%
 ・上司からのハラスメントで多いのは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」
  ・同僚からハラスメントで多いのは「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」
 ・ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気喪失」、 22%は「心身不調」、19%が「退職・転職」
 ・ハラスメントを受けた20代の3割近くが離職を選択
「就活中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある」20代男性の21%
 ・就活中に女性が受けたセクハラ 「性的冗談」「執拗な誘い」「身体への接触」などが多い傾向

このようにハラスメントが如何に多く、如何に優秀な人材の流出に繋がっているかが分かります。

ハラスメントはどの会社でも発生するリスクはあります。そのため、発生後の対応はもちろんですが、如何にハラスメント起こさせないか、如何に被害を最小限にするかを会社として取り組むべきだと考えます。

厚生労働省ではハラスメントに関して事業主が講ずべき措置を纏めています。これを機にご参考にしては如何でしょうか。
<参考>厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/120120_06.pdf

労務・年金相談安達事務所