労働基準監督署の監督指導による賃金不払残業の是正結果

時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、平成30年度に労働基準法違反で是正指導した結果を厚生労働省が公表しています。
 全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30年4月から平成31年3月までの期間に不払だった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。
監督指導の対象となった企業では、タイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか定期的に確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われています。
是正企業数、対象労働者数、支払われた割増賃金額等、各項目について減少傾向ではありますが、支払われた割増賃金の平均額は711万円と大きな額になっておりとても大きな問題といえるでしょう。

 賃金に係る消滅時効(2年)が現在検討されておりますので、割増賃金不払いに関する影響は今後より一層大きなものになっていくことが予測されます。

日頃より労働時間の管理を徹底し健全な管理を目指したいところです。 厚生労働省では、引き続き、賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとしています。

労務・年金相談安達事務所

LGBTについて

 近年では、多くのLGBTタレントがTVでカミングアウトしたことから、LGBTの認知度は高まったものの、芸能界という特殊な世界ならともかく、一般企業の中では、まだまだ強い偏見があります。
そもそもLGBTとは、Lがレズビアン(Lesbian:女性の同性愛者)、Gがゲイ(Gay:男性の 同性愛者)、Bがバイセクシュアル(Bisexual:両性愛者)、Tがトランスジェンダー (Transgender:こころの性とからだの性との不一致)の頭文字から作られた言葉であ り、性的少数者の総称として用いられています。
LGBTのうち、「L」「G」「B」の 三者は性的指向に関わる類型であり、「T」は性自認に関する類型です。

企業に望まれる対応

 電通ダイバーシティ・ラボ調査(2015年)よると、LGBT層の比率は7.6%とのことで私たちの生活の中では非常に身近な存在といえます。しかし、LGBT層に抵抗を感じている人は少なくなく、日本労働組合連合会が2016年に発表した調査では、職場の上司、同僚、部下などが同性愛者や両性愛者だった場合どのように感じるかという質問には、抵抗を感じる方の合計は35%となっています。

 身近な存在であるLGBTといわれる方が、差別や偏見を恐れ、誰にも相談などができない状況が続くと職場のハラスメントが潜在化すると考えられます。これを放置すると無配慮なハラスメントによる精神疾患の発生、企業側のLGBT対応の不備などに基づく労使紛争、職場環境悪化に伴う、生産性の低下などに発展することが予測できます。
 とはいうものの、まだまだ判例も難しく考慮しなければいけない事項も不明確である企業も多いかと思います。(考慮事項:福利厚生、制服、トイレ、更衣室、健康診断、保険証の性別など様々)

2016年NPO法人などで作る団体「ワークウィズプライド(wwP)」が、日本で初めて企業などのLGBTに対する取り組みを評価する「PRIDE指標」を策定し、先駆的な企業を表彰しています。その評価基準と評価された企業の取り組み例が、LGBT対応をより具体的に考える上で非常に参考になります。
ぜひ取り組みをお考えのご担当者様はご一読下さい。

work with Pride
https://workwithpride.jp/pride-i/

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人手不足等への対応に関する調査結果【人手不足の中小企業66%超】

日本商工会議所から、「人手不足等への対応に関する調査結果」が公表されました(令和元年(2019年)6月6日公表)。
【参考】日本・東京商工会議所:
https://www.jcci.or.jp/20190606hitodebusokuchosa-kekkagaiyo.pdf

本調査は、「人手不足への対応に関する調査」、「働き方改革関連法の認知度・準備状況に関する調査」、「外国人材の受入れニーズに関する調査」に関して実施されたものです。

【ポイント①:人手不足への対応に関する調査】
 ■人員が「不足している」と回答した企業は、
  2018年度調査結果(65.0%)と比べて
1.4ポイント上昇の 66.4%となり、
深刻な人手不足の状況が続いている。
■数年度(3年程度)の人員充足の見通しに
ついては、半数以上の企業(52.1%)が
「不足感が増す」と回答し た。

【ポイント②:働き方改革関連法の認知度・準備状況に関する調査】
■法律の名称・内容を「知っている」と
回答した企業の割合は、
「時間外労働の上限規制」が79.5%、
「年次有 給休暇の取得義務化」が89.9%
、「同一労働同一賃金」は68.1%と、
認知度は前回調査から上昇した。
■施行時期を「知っている」と回答した企業の
割合は、「時間外労働の上限規制」が
76.5%、「年次有給休暇 の取得義務化」
が84.4%、「同一労働同一賃金」は
62.4%と、認知度は前回調査から上昇した。
■準備状況について、
「対応済・対応の目途が付いている」と
回答した企業の割合は、
「時間外労働の上限規 制」が63.1%、
「年次有給休暇の取得義務化」が77.3%と、
前回調査から上昇した。
一方、「同一労働同 一賃金」は36.0%にとどまっている。

【ポイント③:外国人材の受入れニーズに関する調査】
■外国人材の受入れニーズがある
(「ある(既に雇用している)」、
「ある(今後雇用する予定)」、
「雇用するか検 討中」と回答した割合の合計)
と回答した企業は50.8%と、
2018年度調査結果(42.7%)と
比べて上昇し ている。
■外国人材の受入れニーズがあると回答した
企業のうち、「特定技能」外国人材の受入れに
関心がある(「ある (現在、受入れを
検討中)」、「ある(今後、受入れを
検討する可能性あり)」 )と回答した企業は
83.6%に達す る。

昨今の国の調査の通り、労働人口の減少は避けることができす、そのことが本調査の人手不足を示す結果に繋がっています。人手不足を補うために、生産性を向上させるための各種働き方改革の制度導入/運用が不可欠となっているのは明確です。その中で、同一労働同一賃金への対応は全体の約36%とまだまだ進んいません。同一労働同一賃金の考え方はこれまでの日本の賃金制度や賃金への考え方と大きくちがってくることから当然といえます。
とはいうものの、着手しなければいけないのは明白で、早めの段階で我々社労士にご相談するのが良いと考えます。

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ハラスメントに関する実態調査


日本労働組合総連合会から、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」が公表されました 。
<参考>日本労働組合総連合会 
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20190528.pdf

昨今、各種ハラスメントに関するお問合せを受けることが多くなってきています。

今回の調査結果では下記のようなポイントとなっています。

【調査結果のポイント】
「職場でハラスメントを受けたことがある」全体の38%
 ・上司からのハラスメントで多いのは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」
  ・同僚からハラスメントで多いのは「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」
 ・ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気喪失」、 22%は「心身不調」、19%が「退職・転職」
 ・ハラスメントを受けた20代の3割近くが離職を選択
「就活中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある」20代男性の21%
 ・就活中に女性が受けたセクハラ 「性的冗談」「執拗な誘い」「身体への接触」などが多い傾向

このようにハラスメントが如何に多く、如何に優秀な人材の流出に繋がっているかが分かります。

ハラスメントはどの会社でも発生するリスクはあります。そのため、発生後の対応はもちろんですが、如何にハラスメント起こさせないか、如何に被害を最小限にするかを会社として取り組むべきだと考えます。

厚生労働省ではハラスメントに関して事業主が講ずべき措置を纏めています。これを機にご参考にしては如何でしょうか。
<参考>厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/120120_06.pdf

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平成30年の労働災害発生状況

厚生労働省から平成30年の労働災害発生状況が公表されました。

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04685.html

労働災害とは、労働者が労務に従事したことによって被った負傷、疾病、死亡などです。

平成30年の労働災害による死亡者数は909人(対前年比7.1%減)であり、過去最少になったそうです。一方、休業4日以上の死傷者数は127,329人(対前年比5.7%増)と3年連続で増加しているという結果です。

業種別にみると製造業について死亡災害が増加しています。
死亡災害のうち、「はさまれ・巻き込まれ」や「墜落・転落」によるものが依然として多く発生した上、輸送用機械等製造業や化学工業での災害が増加しています。

 また、「平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)」も公表されています。これによると、死亡者数、死傷者数ともに前年(平成29年)の倍になっているとのことです。これを機に会社のクールビズ制度についても検討してみては如何でしょうか。

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04759.html

同省では、全国安全週間(7月1日~7日)とその準備月間(6月1日~30日)において、厚生労働省、都道府県労働局から事業場、関係業界団体等に対して、積極的な労働災害防止活動の実施を働きかけていくとのことです。
また、熱中症対策としては、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施中です(5月1日から9月30日まで)。

私が居住している埼玉県戸田市は製造業を中心とした町ですのでとても身近に感じています。労働災害防止に向け社労士として啓蒙活動続けていこうと思います。

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「第14回過労死等防止対策推進協議会」について

厚生労働省から、令和元(2019)年5月9日開催の「第14回過労死等防止対策推進協議会」の資料が公表されました。 https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000506540.pdf

主たる議事は、各省における過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組についてです。

厚生労働省の資料は、メンタルヘルスへの対応、長時間労働の是正、ハラスメント対策への強化がメインの内容となっています。

働き方改革への対応と上手く結び付けられている資料となっておりますので一読の価値ありです。

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平成 30 年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果

厚生労働省から、「平成30年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果」が公表されました(平成31(2019)年4月25日公表)。 https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000504304.pdf

今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の使い捨てが疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,494事業場に対して集中的に実施されたものです(平成30年11月に実施)。

過重労働による労災請求があった事業場や若者の使い捨てが疑われる事業場を対象とした監督・指導であるため違反率が高く出ているのは当然の結果といえますが、どのような監督・指導が行われるかは確認しておくことに損はありません。上記、厚生労働省の資料に監督指導例が何件か記載されておりますので是非確認してください。

ちなみに36協定の特別条項が80時間を超えて締結している事業場については臨検対象になりやすくなるので注意が必要です。

長時間労働。。。生産性を向上させるためにとても大きな課題となり、政府も今もっとも力をいれている事項の一つです。今一度労働時間の考え方、管理方法を見直して見てください。

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2018年 夏季・冬季 賞与・一時金に関する調査結果

経団連(日本経済団体連合会)から、「2018年 夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」が公表されています。

この調査によると、賞与・一時金の水準は、非管理職では夏季が2007年以来の高水準となる78万1,868円(対前年増減率+3.8%)、冬季が75万6,709円(同+2.2%)。管理職では、夏季が160万118円(同+4.8%)、冬季が147万3,440円(同+2.7%)となり、夏季・冬季いずれも3年ぶりに本調査における最高額を更新したとのことです。

おそらくみなさんの感想としては「高い!!」だと思われます。 それもそのはず、本調査対象は、経団連企業会員および東京経営者協会会員企業 1,990 社になります。  つまり、大企業です。 そのため、中小企業からすると目線が合っていない調査にはなりますが、国の景気を知る上では有用な情報になります。

調査結果は下記をご参照ください。参考:経団連

http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/030.pdf

しかし、このくらいボーナスをもらいたいものです笑

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