被用者保険の更なる適用拡大について
社会保険
被用者保険の更なる適用拡大について
厚生労働省から、令和元年(2019年)9月2日に
開催された「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」の資料が
公表されました。
今回の会議では、短時間労働者に対する被用者保険の更なる適用の拡大について、これまでの議論の整理が行われます。
短時間労働者に対する被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大は
従業員501人以上の規模の企業を対象として、
平成28年(2016年)10月から実施されています。
適用拡大は、年金水準の向上につながる上、
健康保険については、傷病手当金や出産手当金を受け取れるようになり、
労働者にとっての利点の観点からも被用者保険の適用拡大は進めていくべきという意見の一方、中小企業にとっては負担が増加することはあきらかで、中小事業者の厳しい実情を総合的に勘案しつつ検討すべきという主張も強いものです。
今後の検討の方向性として、下記のような事項が示されています。
1.被用者として働くものについては被用者保険に加入するという基本的な考えを
原則とする
2.具体的な適用拡大の進め方については、人手不足や社会保険料負担を通じた
企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧な検討を行う
3. 企業規模要件については、被用者に相応しい保障の確保や経済活動への中立性の維持、
経過措置としての位置づけといった観点から、見直しを検討する
4.見直しに伴う事業者負担が過重なものとならないよう、施行の時期・あり方に
配慮するなど、何らかの支援措置を講じる
5.労働時間要件については、被用者に相応しい保障を確保する趣旨を
踏まえつつ、他の論点との優先順位や短時間労働者の就業に与える影響等も考慮し、
慎重な検討を行う
6.賃金要件については、就業調整の要因となるなど課題も示された一方、
国民年金第1号被保険者とのバランスや、短時間労働者の就業に与える
影響、賃金要件と最低賃金の水準との関係を踏まえて、制度の見直しの
緊要性の程度も念頭に置いた上で検討する
7.本来、事業形態、業種、従業員数などにかかわらず被用者に
相応しい保障を確保すべきであるが、
各業種それぞれの経営・雇用環境、非適用とされた制度創設時の考え方と
現状などを個別に踏まえつつ検討する
詳細は下記をご参照ください。
※厚生労働省
被用者保険の在り方については、私たちにとても深い関わりがあります。
これからも注視していきます。
労務・年金相談安達事務所